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【 一秒の中に真理あり 】
N E W !

モンテカルロフィルとの来日公演で、その時はちょうどピアノ協奏曲を演奏中だっ た。
理由はわかっているが、ある箇所でファゴットが違う音を鳴らしてしまった。
私が咄嗟に止める合図を出したと同時に第2ヴァイオリン首席がその調和しない音を
目立たせないよう弾いている音量を大きく出してくれた。
この間1秒ぐらいの出来事・・・。
この第2ヴァイオリン首席はハンガリー出身で、私は彼を以前からオーケストラに
おけるマイスター的存在と感じていた。こんな事があった幕間の休憩中に、
去年初めてモンテカルロフィルを指揮した時の事を思い出していた。
その中でもリハーサル中に思わずロシア語が出てしまった時に見せた彼の表情も
思い出していた。今年モナコでのコンサートの時にはどこまでも青い地中海の涯てに
こそ故郷というものがあるのを知った。

今月はベルギーのブリュッセルでヨーロッパ人に交じり、EUでの会議に招待されて いる。
大変光栄ですが、日本人が私だけというのは正直心細い。
あの時の1秒をだけを持って新しい世界に入って行こうと思っている。

2008年7月10日 西本智実




【 出発前 】


ベルリンに戻る前日に時間ができたので、皇居を一周する散歩に出かけた。
薄色の新緑が重なり合う濃淡や、そのすき間を通り抜ける陽光がとてもやわらかく
清々しい心持ちでゆっくり歩いていた。
頭の中に「育む」という言葉が浮かび、「このまま日本に居たい・・・」
という気持ちでいっぱいになった。
英国大使館を通り過ぎようとした時何か突然ひんやりした空気が動き、
その先には銅像が建っていた・・・。

青白いオーラに導かれエジプトへ行った事や、幾何学と音楽の事など、あまりにも早 く
走り去った出来事や日々をもう一度じっくり反芻した。

皇居一周を終えた時、やはり明日は出発の日だと思った。

2008年5月2日 西本智実




【 アルプス山中 】


例えば、ゲーテの「ファウスト」と「ヴィルヘルムマイスターの修行時代」の中に 心象風景としても深い黒い森を感じる瞬間が度々あった。
当然音楽は聴く人に そういったインスピレーションを呼び覚ます芸術でもある。インスピレーションとは 一体何なのか・・・。
それを知りたくて作曲を学んだはずだが、今頃になって!?ようやくその点と点が線 に、また立体的に捉えられるような気がする。
やっと一周できたような気がしてい る。

1月の下旬からスイスのダボスで催されたダボス会議に招いて頂いた。 私にとって素晴らしい体験は実学哲学を体感出来たこと。
机上の空論ほど指揮者に不必要なものは無いとはいえ、いつも自分の中にそんな弱さ を見出していた。しかしホンモノを感じた瞬間、
そういった私の中のつまらないもの が一気に飲み込まれ、意識下に霞んでしまった。
H.キッシンジャーの言葉を感じながら、この会議が終わったらエジプトへ行こうと 強く思った。

初めて見たピラミッドはあまりに美しく圧巻で、ただただ涙がぽろぽろ流れた。 これは全てを超越した美しさだった。音楽にも黄金比を
使った作品はたくさん あるのだけれど、(音大時代、作曲専攻生だけを対象とした楽曲分析の授業で 黄金比を使った作品を、それなりに
細々と数字に戻しながらささやかな喜びを 感じていた頃があったのも同時に思い出した)そういった経験は実際のピラミッドを 前にすると、
やはり一気に飲み込まれてしまった。

音楽の向こう側にあるものを表現できる演奏家になりたい。

2008年3月11日 西本智実




【 陽 光 】


寒い国に住んでいると、「今日から春」と感じる日がある。
たとえまだ雪が積もっていても、陽ざしが明らかに春に変わっているのを感じる瞬 間。
サンクトペテルブルクではその日は4月だった。半年近く鈍色の空に覆われて過ごす中、キラキラとした自然の生命力に感動
したのを思い出す。私は年中ほとんどの日々を旅しているので、季節が前後する事にも慣れてはいるのだ けれど、
この年末年始の日本の陽ざしはまさに春・・・・地球温暖化です!

今月下旬より始まるダボス会議に招かれている。
地球温暖化という言葉が日本でまだ聞こえない時から世界はこの問題に 取り組んでいた。この先、我が祖国日本が世界の時差に
遅れないように 祈るばかりです。

2008年1月9日 西本智実




【 新年あけましておめでとうございます 】


日本で時差なく皆さんと共に年越しができとてもうれしいです。
今年が皆さまにとって素晴らしい年になりますように。

2008年 1月1日  西本智実







 
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